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原子力発電について思うこと

今回の震災で原子力に対する非難と反対が声高く叫ばれています。事故については非難されるべきでしょう。確かに今回の事故はなんとしても避けなければならなかった事だと思います。

私は原子力推進派ではありません。最近まで材料関係の開発を行ってきた技術屋なので技術的には門外漢です。しかし技術屋なのでヒステリックに反対のみを叫ぶことはできません。

もう20年以上前に「原子力は必要なのだろうか」と友人の技術屋と何度も話したことがあります。当時と今では状況は変わってはいますが、今でも当時と同じ意見を持っています。「今は無くてはならない」です。

ここに2つの数字があります。日本国内の発電量の統計です。

【発電所による発電量】
火力 134.9ギガワット(59.1%)
原子力 48.8ギガワット(21.4%)
水力 43.9ギガワット(19.2%)
その他 0.5ギガワット(0.2%)
計 228.1ギガワット
資源エネルギー庁 電力調査統計 発電所認可出力表 (平成22年12月)

【自家発電による発電量】
火力 53.8ギガワット(89.2%)
水力 4.4ギガワット(7.3%)
風力 2.1ギガワット(3.5%)
計 60.3ギガワット
資源エネルギー庁 電力調査統計 発電所認可出力表 (平成22年9月末)

原子力の発電量を見て「2割なら節電すれば無くてもいいじゃん」という見方もあるでしょう。2割という数字だけ見れば、今現在はそれも正しいかもしれません。
注目しなくてはならないのはその上の火力です。石炭・石油・ガス等の化石燃料を燃やしているのが火力発電です。

化石燃料はもう枯渇するのが見えている資源であり、燃やす以外に繊維やプラスチック製品などの石油製品類にも使われています。
さて燃やし尽くしたら次はどうしましょうか。また、燃やして生まれる二酸化炭素などはどう処理したらいいのでしょうか。

「代替エネルギーの風力や太陽光がもう実用化してるじゃないか」という人もいるでしょう。確かによく目にするようにはなりました。
ではどれくらいのシェアを持っているか考えたことはありますか?
また、風任せ天気任せの供給が不安定なエネルギーに頼ることの怖さは考えていますか?

自然エネルギーと呼んでいる地熱発電、風力発電、太陽光発電は前のデータの【発電所による発電量】の「その他」に分類され0.2%しかありません。

現在私達が目にする風力発電の多くは前のデータの【自家発電による発電量】に分類され3.5%に過ぎず、全体の0.7%でしかありません。

この読売の記事にもあるように未だ発展途上の技術なのです。
『燃料電池、停電時使えず…太陽光も発電量不足』Yomiuriオンライン
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110330-OYT1T00539.htm

「石油が無くなる頃には代替のものが出来あがってるさ」と言って笑い飛ばしますか?

私の「管理を強化して安全性を高めて次代のエネルギー技術を確立できるまで使い続けなければならない」という考え方は間違っているのでしょうか。