君が代

24才の荒川静香は表彰式の台の上で国旗に対して君が代を歌っていた。
アップになった口元は、確かに君が代を口ずさんでいた。
長野オリンピックでは不幸にして金メダルを受賞したがために表彰台に上がり、着帽のままで世界中から顰蹙(ひんしゅく)を買った女子選手がいた。
この差はいったいなんなのだろう。
半世紀近くにおよぶ偏った教育の結果であるのは間違いないのだが、教育した側もされた側も何の疑問も持っていないところが恐ろしい。
年寄り連中にとって国旗や国歌が戦争のイメージに結びつくというのは理解が出来る。お国のために死ねという教育を受けてきたのだから当然の拒否反応だろう。偏った思想を植え付けられた不幸な年代なのだから。
しかし国旗や国歌イコール戦争という教育もまた、そういう偏った考え方を押し付けたのと同じに、偏った教育であることに誰も気がついていないのである。
私は日の丸も君が代も好きである。
荒川静香が口ずさむのを見ながら目頭が熱くなった側の人なのである。